各指定図書の判断基準となった聴き取り内容結果を整理

2009−12(最初の引用であり、全文書き写してみた)

    • 指定やむなしとした意見
      1. 内容的に高校生を対象としており、性描写も多い。消しはあるが、擬音もリアルで、指定やむなし
      2. 登場人物がほとんど高校生で、大半が性描写シーン。カバーも大人向けとは思えない作りで、指定やむなし
      3. 修正は見られるが、セックスシーンが多くリアル感もある。設定的にも問題があり、指定やむなし
      4. 性交箇所は消しが入っているが、セーラー服ものが多く体液も多い。指定やむなし
      5. 全編性描写が多く、卑猥感無いものの消しが不十分体液も多く成人マークは是非付けてほしい。指定やむなし
      6. 性行為場面が多い。消しはあるが、かなり形がわかるものが目立つ。擬音も多くセリフもいやらしい。指定やむなし
      7. 修正されているものの、全編にわたり性描写があり、指定やむなし
    • 保留もしくは非該当とした意見
      1. 全体的に絵柄は卑猥な感じがしない。しかし、制服を着た女子高生が結構モデルになっており、表紙も青少年に取りやすくなっているので、成人マークを入れたほうがいいと思う。総じて保留
      2. 第1作目は女子高生が登場するが、他は大人ものであり、1作目が目立つ。他の作品はデフォルメされており、いやらしさは強い。体液、擬音が多いが許容範囲。総じて保留
      3. しっかりと修正してあり、内容的にはそんなにハードな感じはしない。短編なのでいやらしくはない感じがする。指定非該当
      4. 制服姿という点は問題があるかもしれないが、全体的に卑猥感はない。指定非該当
    • 判断のポイント
      • 消し(修正): 確実に言及されている点から、成年マークなしである以上、目立つ消し忘れは間違いなくアウト。消しはされているという意見が大半である中でも修正不十分という意見の持ち主もいる。この辺の基準は自分が読んだ本の時に分析してみたい。
      • 購買対象年齢: 性描写が多い場合、表紙もそうだが内容も登場人物が高校生だったりセーラー服を着ていると高校生向けを感じさせるので良くないらしい・・・。成年マークをつけたくなければ、高校生以下向けではないことをアピールすることが必要と思われる。もちろん末尾に18歳以上ですと一文書いても意味がないんでしょうね。
      • 体液(汁): 現在のケータイコミックで汁禁止にしているのはこういう評価者の影響なんでしょうね。業者としては汁・体液と決めたい上、愛液、精液はもちろんのこと、汗やつばや涙だってそうだろうと過剰反応するところも出てくると・・・。結構成年マークなしの場合、これに該当して指定された本は多いかもしれません。
      • 擬音: リアルさや多さを言及している評価者が目立つ。なるほどねぇ。
      • リアルさ: 体液や擬音は結局のところこのキーワードから特に取り上げられたものかもしれない。さらにデフォルメという言葉も登場しているように絵の造形自体にも基準はありそう。これは適用例を多く見ることで分析してみたい。
      • 卑猥さ: まさに基準となる言葉だが、そう感じたポイントは書かずに結論となる卑猥やいやらしさだけを示し、実質聴き取りにもなっていない。

 なお、この「自主規制団体」については継続して調査中。

2009−10「英丸/くいこみプレイ」(いよいよ所有本)

    • 聴き取り内容について

 驚いたのが、16件の意見のうち、指定やむなし・・・5件、総じて保留・・・2件、指定非該当・・・9件で、2倍以上の指定不要の意見を獲得しているにも関わらず、適用されてしまった。まず以下に5件の指定やむなしの意見を示す。(参照 資料PDF第593回 資料4

    • 指定やむなしとした意見
      • 後半にドラッグ使用の内容があり問題である。指定やむなし
      • ストーリー性はあるが、後半になると性描写が露骨になっている。指定やむなし
      • タイトルの「くいこむ」というのがいやらしい。前半はともかく、後半はセックスシーンが多く、指定やむなし
      • 女性器の陰毛の描き方が具体的。擬音が卑猥に感じる。性器の拡大画面の羅列となっており、指定やむなし
      • 全編にわたり性描写があり、指定やむなし
    • 「くいこみプレイ」全9話の簡易分析
セックスシーン*1のページ数/総ページ数 描写に関して フェラに使われた擬音 挿入で使われた擬音 射精で使われた擬音 その他擬音(適用シーン)
1 9/22 水着からはみ出した陰毛はエロい。 ジュプ、ペチャ、ピチャ、ジュッ、レロレロ、パイズリ パン、ぶじゅッ、ぶじゅ、ぶじゅん、ずぼッ(ズボッ)、ずぼんっ、ぶッ、ギュッ、ギュチッ、ジュプッ ドピュッ、ビュッ、ドクッ、ドク きゅううう、ギュウウ(くいこみ)、ビビィーン(絶頂で乳首がしびれる音)
2 7/20 乳首を終始縛ってるのは少しエロいが陰毛描写もなく控えめ ぺちゃ、ぴちゃ、ペロ、レロ、ちゅぱ、ぢゅぷ、ジュプッ、ジュパ、ジュッ、ちゅぽん/ぶムッ、んぶォッ、…ん、ん〜〜、んぼッ、んむっ、む〜〜 ズブプッ、ジュブ、ジュボッ 汁だけ ギリッ(くいこませる音)、ギュウウウ(くいこみ)
3 9/20 くいこませる下着の両脇からはみ出る陰毛はいい。男性器は輪郭もわからないほどに塗りつぶされている じゅぱ、じゅ/んぶっ、んんぅ、んぼ、んふ、んん…、 くちゅ、ズブウウゥ、ジュブッ、ジュボッ、グボッ、パン、ジュッ、ぶちゅん、ぼぢゅッ、ぐぽっ、ぶりゅん、ズボッ、ヂュポン ドビュッ、ビュッ、ドビュッ、ドクン グィイィーッ、ギュン(くいこませる音)
4 6/16 これぞくいこみエロス。少し挿入シーンが増えたが男根は輪郭も描かれず白いまま ピチャ、ペチャッ、チュパ、ジュッ、ぢゅぷッ、ぢゅぼ、ジュルッ、ジュルル、ズパッ/ぼふォ、…んぐ、ぶぼッ、む‥ン、んがむほォ、んぼッ グ‥、ズ、ズブブ、じゅぼ、ぬ゙ッ、ぢゅぶッ、ヌチャッ、ニチャ、ヌボッ、パン、ずッ、ずぶッ、パツン ビュッ、ビュルッ、ビュルル、ドピュッ、ピュッ、ドクン みち、みぢ、ぎゅうう、ぎゅちち(縄が割れ目にくいこむ音)
5 7/22 アイドルにあそこに限界までくいこませた水着はエロい。クンニシーンが多い。男根はやはり輪郭なしの白 フェラなし ズ、ピチャッ、ズブブ、ジュブ、ジュブッ、ぱんぱんッ、ジュボッ、ジュボ、グジュ、ジュッ、ブジュ、ブギュッ ドピュ、ドプッ
6 6/20 ペニスをくわえ込んでアナルの肉が盛り上がっている(たいしたことはないが)。輪郭だけとはいえ若干カリの形状をつけた男根多数描写。二穴、輪姦あり フェラなし ズブゥ、ズッ、ズボッ、ジュボ、ズン、ズボ、ジュボッ、ブジュッ。ブギュッ ビュッ、ドビュッ、ピュ、ドクン、ドクッ
7 12/20 SMシーンから一気にピストン攻撃の連続。ペニスを弄ぶシーンをページカウントしたため多めになったが実際エロいページは増えてきた印象。6話同様男根の輪郭が若干わかるようになってきた(全然問題ないと思うが) フェラなし ニュプ、ニュル、ジュル、ヌリュ、クチュッ、ズボッ、ズブッ、ズブゥッ、パン、ジュボ、グブッ ドビュッ
8 6/20 フィギュアスケートしながらのくいこみで恍惚の表情。男根の絵はほとんど描かれていない フェラなし グ、グニュニュ、ズッ、ブジュ、ジュッ、ズプッ、グッ、グボッ、ギュブ、ぱん、ブジュ、グポッ、ジュブッ ドックン、ドクン
9 7/20 網目の水着からはみ出た乳首がナイス。われめがダブル。お香をたいてエロくなったわけだがオチでこれがドラッグだとわかる チロ、ペロ、カポ、ジュボ、グポ、グポッ、ジュル、ジュルルル ズジュ、ジュチュチュ、グジュッ、グジュ、ズボ、ズッ、ズプッ、ジュッ、プジュッ、ジュボッ、ズボッ、ジュブッ、パン、ジュボ ドクン、ビュッ、ビュ
    • My判定

 聴き取り調査内容は結構的を得てる気がします。前半はフェラを多用して挿入シーンもあっさり済ませていたのに、後半はフェラシーンも省略して、食い込みで濡れまくったあそこで挿入シーンを多用し盛り上げるというバランスのいい作品。
 指定やむなしとした意見を見ると、最終話でドラッグ使用の内容があり問題としている。確かにドラッグが出てきたのは事実だが、よくある媚薬を使ったというエロマンガの定番アイテム程度の描写で、犯罪に結びつくようなドラッグだと食いつくネガティブな発想にむしろついていけない。それでもこういうことを言う奴はいるので最後のページにお香に混ぜモノをした店主を逮捕するコマを入れる配慮をしたのかもしれない。実際問題、非該当とする意見が大勢を占める中で、指定を受けたのはたった一人のこの判断が目に止まったのかもしれない。こんなエロジョークレベルのネタもスルーできないのだから難しい。
 また3つめの意見で「くいこむ」のがいやらしいとわざわざ明言しているのは笑わせてもらった。4つめの意見は全く読んでないバカの意見。こんな奴のために指定受けたとしたら腹立たしいでしょうね。
 陰毛の描写について苦言をする声が目立つが、くいこみをテーマにした作品で毛を描かずしてどうするのと思う。この程度はエロスであり、猥褻ではないというのが普通の感覚。
 非該当とする意見は作品を読んだことがわかる至極まっとうな意見。コミカルな展開の中にくいこみエロスを楽しむ明らかに大人向けの作品なのだから高校生以下でこの作品の良さがわかるとは思えない。
 やはり、最終話のドラッグに食いついたひとりの意見が実際には中身を読まずに判定する委員の目に止まった可能性は高い。あそこはドラッグと書かずに媚薬と書いておけばスルーされた気もする。実際読者も作者もその程度の認識なんだが、それが理解できない(見逃せない)人がいたのは残念。私なら当然非該当とする。

2010−03「板場広志/シカクのセンセ!」

    • 聴き取り内容について

 引用公開資料は第598回の資料3諮問図書:自主規制団体からの意見聴取結果

判定結果 自主規制団体の意見 私の検証結果
指定やむなし a 修正されているものの、全編にわたり性描写がある 調べた結果、ほぼ6割がSEXシーン。指定前にこの本を感想を書いたが成年マークなしとしては多い印象だったのでこの点で対象になりやすいことを再確認した気がする
b 女性の陰毛が具体的に描かれており、擬音も多い 陰毛と擬音もチェック対象になりやすい
c 後半のSEX描写が多すぎる。女性の陰毛の描き方、男性器の白抜き体液の描き方など 興味深いのが「白抜き」処理。同様に指定を受けたタケイツカサ氏の「僕とユキ姉の妄想日記」に対する検閲意見で、『男性器を白抜きにしてあるが、かえって卑猥感がある』とある。この着眼点はマニア級なので恐らく同人物だと思うが、性器を消すため白くしたら、そっちが卑猥って、どうしろってのっ!(笑 ほんとバカか。描いてないのに卑猥っていうのは、自分が白抜き部分を見て妄想した結果でしょうがっ。これで発禁になるんだから堪らん話
d 性交場面はぼかしてあるものの、卑猥さを感じる ぼかしてあるから卑猥だと言うんですね、わかります。ってアホ意見がここにも。じゃあ消さないほうがいいってか!?
e 未成年が好んで買いたくなる内容。学園ものであり、結合箇所がしっかり描かれており、成人マークが必要 学園ものによく反応する意見者がいるのでその人でしょう。資格をとる学校を学園ものって言われてもね。表紙を見たってそういう印象受ける奴もいないでしょ。まさにイチャモンつけてるだけ
f カラー描写の部分や、擬音の多用、体液の描写等が多い
g 性交場面の描写が具体的で露骨。一応ストーリー性もあり、性交シーンばかりでないことを割り引いたとしても、ぎりぎりアウト。 ぎりぎりアウトって言葉をよく使う人がいる。どういうバランスでアウトなのかちっともわかりません
総じて保留 h 性器描写は抑えめである。性交シーンはコマも小さく分かりにくいが、シーンが多い
i ストーリー性があり、コミカルだが、性描写が多い。
j 性器は消してあるものの、擬音の効果がやや強い。全体としては指定までは至らないと思う
k 卑猥感が絵柄になく、性器の露出はあるが、そんなにひどいとは思えない 卑猥だと言う意見と真逆
l デフォルメされている部分もあるが、それほど問題ではない。
指定非該当 m 青少年が成長していく中においては、この程度は許容範囲ではないか。
n SEXシーンが多く、陰毛、体液等の描写が気になる。カラーを使っており目立つが、全体的に大人向け
o ぼかしもしっかり入っている。性交場面が多いのが気になるが、卑猥感がない
p 修正されており、ストーリー性もあるので、それほど卑猥には感じない
    • My判定   指定を喰らうことになった判断がaからgだが、個人的には性交シーンの量が6割というのが最大のポイントだったのではないかと思います。完全に数字で管理されてないので曖昧には違いないのですが、半分以上のページというのはやはり危険だったと思います。出版社の基準設定が甘かったということになるんでしょう。この3月に指定を受けた3冊は内容としては問題ないと思いますが、どれも性交シーンの割合が多かった点が共通していると思いました。性交シーンが多いことが不健全育成とどう関係があるのか、さ〜っぱりわかりませんけど、エロ=不健全という短絡的固定概念を全く疑わない偏執者なんでしょうね。こういう人間こそ深層心理的にヤバイものを持ってる気がしてなりませんが。

*1:男女の絡みか自慰シーンに限定