かるま龍狼(かるまたつろう)/へべれけ (ワニマガジンコミックス)

へべれけ (ワニマガジンコミックス)

へべれけ (ワニマガジンコミックス)

2007年4月1日初版
絵:★★★★★、話:★★★★★、工口:★★★★★
 予約買いの1冊です。ほぼ全話雑誌で読んだ内容ではあったのですが、かるま氏の描く絵の魅力とライト感溢れる工口ストーリーを前に買い控えできるはずもなく、実際こうして読み直してみても大満足ででした。
 性にオープンなどという陳腐な言葉で表現できないほど明るく工口い酔子さんという家政婦さんが登場するシリーズ。この名前といい本のタイトルといい、たぶん作者はもっと酔ったときの行為でエピソードを考えていたのかもしれませんが、結果的には第2話だけのエピソードで終わりました。まあ酔うと工口くなくなるんじゃ仕方ないですが、それでも工口いことを我慢するときの酔子さんの表情は普段とギャップがあって大変可愛らしく、全く無駄のない展開になっておりました。
 3話めなどちょっとストーリー的にはあまり練られてないところはありましたが、5話では前巻の絶倫おじいちゃんと隣の奥さんが再登場し、いつもおじいちゃんとしていた家政婦さんも出てきて世界(設定)がつながっていることが判明。確かに前巻からメガネの家政婦さんは少々気になっていましたので、作者も世界を広げてみたくなったんでしょうね。と思ったら6話で話が終わってしまったのはちょっと消化不良かも。不満を感じるようなことはなかったんですが、1冊まるまる家政婦シリーズでいけたんじゃないかと思いました。
 結果的には半分が読み切りで構成されており、どれも高い水準で楽しめる内容でした。なかでも幼馴染のカナエねーちゃんのお話が一番のお気に入りです。年上であることから主導権を握ろうとしているのに、相手の男の子が好きでしょうがないためにとってしまう行動が工口マンガ的なのに純愛っぽいじゃないですか。次に、メイドさんが抱き枕を演じてご主人と一夜を過ごすお話もオリジナリティがあり印象に残りました。ドアに奥さんがはめこまれて鍵になっているという設定の作品はシュールな笑いと工口さが漂った、これまた印象深い作品でした。この辺の発想はかるま氏ならではですね〜。最後の話はちょっとやるだけマンガになってしまってましたが、絵の魅力で話がないときでも満足してしまうところが自分ながら甘いなぁと (^^;
 最後に、カバーに書いてある「鰐好色酒造株式会社」が何なのか気になってしばらく調べたのですが結局よくわかりませんでした。かるま氏の作品は人妻姫 1 (ワニマガジンコミックス)の単行本が最初でしたが、その時点でかなりキャリアを積まれていたようでしたので、その知らない頃のネタかなにかでしょうか。
 古本屋でみつけたメイド・ウーマン 1 (TSUKASA COMICS)は1995年1月25日発行でしたが、これで単行本2冊目だそうです。初単行本の「燃えるんジャー」はいまだにチェックしていますが見つかりません。もっともこのころの漫画は正直魅力が弱いので本気で探す気にもなれないのですけど。作者自ら言ってるようにでかいの (ワニマガジンコミックス)から工口さ加減が確かにワンランクアップして気がしますが、メイドのみやげ (アクションコミックス)あたりから絵の魅力が私の守備範囲に入ってきたように感じます。いずれにしてもこの方も大変長く活躍されているひとりですね。これからもドロドロしたお話は他の作家に任せて、ライトで笑いのある工口を提供してほしいと思います。