色|戒(LUST,CAUTION)/監督:アン・リー(Ang Lee)

主演:トニー・レオン(Tony Leung)、タン・ウェイ(Tang Wei)
キャスト:★★★、ストーリー・演出:♥♥♥♥、音楽:♪♪♪♪、総評:◎◎◎
 観てきた。評価は上のとおり。星3つで普通という評価なので、悪くはなかったというのが感想。

1942年、日本占領下の上海。抗日運動に身を投じる美しき女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、敵対する特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)に近づき暗殺の機会を伺っていた。しかし、危険な逢瀬を重ねるうちいつしかウォンは、虚無の匂いを漂わせるイーに魅かれていく。ある日、二人は死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しくお互いを求めあう。そして、二人のスリリングで危険に満ちた禁断の愛は、時代の大きなうねりの中で運命的なラストへとなだれ込んでいく−−。(公式HPより引用)

 お話はこの紹介文のとおり。まさにこの後ラストシーンがあるだけなので、ぶっちゃけてしまえば基本的な内容はこれだけ。もちろんラストにつながる心の変化が映画のコアでしょうからネタばれしたとしても問題ない映画じゃないかと思いますが(さすがにラストは言うべきじゃないでしょうけど)。チケット買うときにR18指定に気づきましたが、対象となったセックスシーンは確かに単なる客寄せではなく必要なシーンだったと思いました。元々抗日思想がそう強くはない印象を見せるワンが、色香で油断させようと身を投じる覚悟を決め、初めてをどうでもいい男に捧げて性技を身に着けます。映像を見てると友人の女性にうまくのせられた感じもあり実際は積極的ではなかったわけですがそれでも簡単な覚悟ではないといえます。一度は機会を失うものの苦労の甲斐あってイーへの肉体的接近に成功し彼の愛を感じるようになっていきます。この心の変化が単に体を許しただけで起こったというには説得力が薄く(そもそも身を犠牲にしてまで近づいたわけですから)、激しいセックスこそがひきがねになったことを示す必要があったのでしょう。
 ちなみにバスト80と小ぶりだったし劇評にあったセックスシンボルといえるほどの色香を感じませんでしたが、その小ぶりの乳房に反して黒く太い乳首がピンと立っていたのには思わずドキッとさせられました。そもそもアジアの女性なので体格は小さいし童顔なので年齢より幼く感じてしまってエロティックな雰囲気は難しいかなと感じながら観ていましたがアジア系美人女優でここまで見せた*1のは印象に残りました。「花と蛇」の杉本彩にはさすがに負けてますが(笑。
 音楽は結構好きでした。戦時中の雰囲気と工作員として緊張感などシーンを盛り上げる効果がよく出ていたと思います。また当時の日本軍をもっとひどく描くかと思ったら政治的な匂いをできるだけ抑える配慮があったのか物語の時代背景を演出するにとどめていて、気が散ることがありませんでした。総論がそれでもやや低いのはキャストの魅力不足。トニーレオンは嫌いじゃないし、タンウェイもよくやってたけど、映像から強い愛を感じることができませんでした。これは私の感受性の問題かもしれませんが、何かセックス中も演技っぽさを感じてしまったわけです。実際役者とスパイ役(劇中でも役者という設定)という二重の演技をしているわけだから、そう感じてもいいのかもしれませんが、ワンの乱れ方にやや違和感。まあ、それでも観て損した気には全くなってませんので、よい映画だったと思います。

*1:ぼかし取って欲しかったですけど