中年/年刊 中年ジャンプ

絵:★★★★☆、話:■■■■■、愛:♥♥♥♥♥、次回作購入意欲:♪♪♪♪♪

年刊中年チャンプ (ポプリコミックス)

年刊中年チャンプ (ポプリコミックス)

  • 作者: 中年
  • 出版社/メーカー: マックス
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: コミック

 7月発売で楽しみにしていた1冊です。表紙絵もインパクトがあり作者自身のセンスをうまく読者にアピールできる絵になってると感じました。表紙絵だけでなく目次もいろいろ凝ってて楽しい作りになってます。こういうノリの作家です。私が買う本は基本的に絵が好みの範囲に収まってることが絶対条件ですので((クセのある絵から萌え絵まで節操ありませんけど))、中年さんの絵も雑誌を読んでて目を惹いたのが最初のきっかけ。で、読んでみたら工口もラブもかなり充実してて、すっかり読むのが楽しみになってた次第。

 工口は全体的に実用度高めだと思います。例えば巻頭の「犬密度100%」という作品でベロチューをするシーンで一コマが急に暗いトーンになり淫靡な雰囲気に。ちょっとした演出ですが読者もこれを見て次ページからエッチシーンメインだというスイッチに切り替えやすいんじゃないでしょうか。要するに工口が濃いかどうかで言えば成年向けとしては標準ですが、エッチのラストシーンまで盛り上げていく流れの作り方が、少々変なシチュエーションから始まっても、うまくもっていく巧さを感じます。読み手も気持ちがうまく乗れると工口度が割増しされますからね。
 ラブ面では例えば「かくれん坊将軍」という作品。押し入れに昔二人で作った秘密基地でかくれん坊してたらハートシール付きの写真を洋介に見つけられて動揺するヒロインの里奈。そのままエッチなところをいじりまわされて一度イッちゃった後の1シーン。里奈:『少し…は里奈が好きでこんな事をしたんでしょうね!?』、洋介:『…少しはな』、里奈:『……』と、この後の里奈の返しが強烈…。ちょこんと体育座りして『どうしたらいっぱいになる?』グス。・・・ごふっ。これが萌え死というやつですか。こういう言葉は現実には死ぬまで聞けそうにありませんが、一連のキスや指エッチの後の一言だけに高い攻撃力を持ってると思いました。ちなみにこのシーン、非常に小さいコマなのでデレ攻撃の中では弱いほうで、むしろ里奈の顔アップでつぶやくメインのデレ攻撃がいくつかあるのですが、そちらがいい表情とセットでお奨め。これは買って読む方のお楽しみですね。
 気づいたら1話目から順に語ってしまってましたが3作品めもシチュエーションが非常におもしろく秀逸の作品。まあこんな調子で語ってたら止まらないのでこれから買う方の楽しみを奪うのはやめますが、総合的には期待以上の本だったと思います。一部で笑いのネタがないラブや工口のみの展開になってる作品があったのは少し物足りなかったんですが、誤解ないように言うと、個人的には執拗に笑いを入れる作家はどこか工口だけでは場を持たせられないという自信のなさを感じてしまうことがあるので、笑いなしの作品もある程度の割合で読みたいため笑いがないこと自体は不問。むしろ工口だけでは中年さんらしいと思わせる個性が足りないというのが本音。そういう意味ではまだまだ良くする余地があると思いました。
 そんな絵や話がまだまだよくなるという期待を持つ一方で、結構気になってるのがPN。最初見たとき特殊な読み方をするのかと思ったらそのまま「ちゅうねん」だったので、エェッと思ったし、何よりこの作家の情報を探そうと検索しても当然引っ掛かるのは文字通りオッサン関連か、中年さんのマンガを話題にしている一般のブログばかり。掲載誌のポプリとかマンガ関連のキーワードで暫く探してみましたがいまだに発見できず、実際存在しないのかもしれません。「こまこ性を学ぶの巻」という作品でグーグルさんから性具の使い方を学ぶなどとネタにしているので、まったくネットに疎遠な方ではないと思うんですけどね。やっぱり作家も人気商売なので日記とかなくてもいいけどファンのコミュニティ(掲示板など)はあるといいなと思います。
 最後に、まだ未収録作品は多いようなので次は必要ページ数に到達次第新刊出して欲しいと思いました。すべてはこの本の売れ行き次第というなら間違いないと思うんですが。今回の本、そろそろ出るだろうと思ってから実際に出るまでかなり掛かって待ちくたびれました。かなり勝手なことを言ってるのはわかってるんですが、どういう基準ですぐ出さないのか疑問に感じることが多いですね。思わず30日に発売予定の作品に対する不満に変わってしまいました。