フランク・シェッツィング:著、北川和代:訳/深海のYrr(イール) 上・中・下

総評:■■■■

深海のYrr 〈上〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

深海のYrr 〈中〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

深海のYrr 〈中〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

深海のYrr 〈下〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

深海のYrr 〈下〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

 購入してから読み終わるまで1年以上掛かってしまいました。上巻を読み終わった後、ちょっと忙しくなって放置していたら、そのまま中・下巻は永らく積み本の土台となってしまいました。今は何かが解き離れたような清々しい気分です。読み終えてない本があるのは非常に気持ちが悪いんですよね。
 前半は自然界が微妙に狂ってきている描写が緻密で、時間をかけた取材が内容に説得力を与えて読み進むのも早かったのですが、後半に入りイールの正体が分かってくるにつれ違和感が膨らむし、登場人物の描写が個人的にもうひとつしっくりこなかったり、文章もほんの僅かですが後半ややダレた印象(単に人間の思惑が浅はかに感じたからなんでしょうけど)を受けた結果、読む意欲が薄れて他の本に浮気しているうちにこんなに時間が経ってしまいました。間違いなく大作といえる内容であったし、最後の記述にあった神の存在にも問いかけるなど地球規模という空間だけでなく時間的にも壮大な話になっていたと思います。クライマックスが物足りなくなければもっと絶賛していたんですけど映画化もされるようなのでビジュアルの力を借りてもう一度楽しもうと思います。