美奈川護:著者、望月朔(さく):イラスト/ヴァンダル画廊街の奇跡

ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)

ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)

  • 感想:読了日03/02

ゴッホの「ひまわり」が規制対象になるプロパガンダ撤廃令が施行されている世界。図書館戦争という作品同様に、こんな馬鹿すぎる設定はないわと感じてたが、考えてみたら某国の首都で扇情的すぎるという数名の意見を基準にして事実上国中の出版規制をかけてる条例があったことを読後になって思い出した。今度多少のリアリティを感じながら読み直してみたい。作品自体、美術館に侵入する怪盗モノっぽいテイストを入れてる割に華がない。また転写眼というキーワードは気に入ったけど、それを実際に大きく描き写す能力はまた別だと思うんだが…。その辺も少し説得力が弱い。もっと悲惨な空気にして、過去の文化を愛している国ですらひっくり返すような強い力の存在が描き切れてない。恒久的平和という世界政府の目的とこの撤廃令がやはり飛躍しすぎてる関係にあると思う。ラノベだから、あまり思想や政治臭を出さないようにした可能性もあるけど、こういう世界が実際に存在したらどうなるかをもっときちんと描いていたら評価はもっと高くなったはず。総評4