ヤマグチノボル/ゼロの使い魔〈10〉イーヴァルディの勇者 (MF文庫J)

2006年12月31日初版第1刷/メディアファクトリー
話:★★★★☆、挿絵:★★★★☆
 早くも10巻めです。昨年ラノベというものに手を出して以来、関連ブログサイトでお奨めの本を片端から読み漁っておりましたが、読みやすさも手伝ってこの「ゼロの使い魔」シリーズは読み続いています。いまひとつ主人公ルイズの使い魔兼犬のサイトが内面的に強くなりきれないのも、手に入れた力に舞い上がって真の勇者きどりの少年漫画誌の主人公のようになっていないのが好感持てます。また最近の巻では少々デレが強すぎの感があったルイズもサイトの気持ちは契約の影響じゃないかと悩んだ末に見切った瞬間みせたラストの態度は実に彼女らしさが出ていてよかったです。無表情キャラのタバサまでラストにはデレに入りそうな勢いで作者の野望は果てないです。しかも、まだまだ消化されていない伏線が大量に残っているだけにこのペースならどこまで続くか量りきれません。最後にひと言、何故にシルフィードの人型の姿見挿絵がないのでしょうか。

 なお、昨年読んだラノベで一番だったのが「狼と香辛料 (電撃文庫)」シリーズでした。ラノベ関連の年間ランキングでは堂々の一位に輝くなど、きっちり評価されるべき作品が評価されているのは嬉しい限りでした。よくある感想でしょうけど、やはりこのシリーズがおもしろいと思うのはほとんど戦闘シーンなどなく商売・交渉でストーリーを魅せている点でしょう。キャラクターの魅力が魔法でも剣の強さでもなく知的なかけひきであることは新鮮でした。もちろん行動力や勇気、そして信念と戦い悩む様などのラノベらしく魅力を示す共通点は備えているからこその人気ですが。えっと、でもやっぱり人気を押し上げた最大の理由はホロの魅力でしょうか。相乗効果はもちろんですが、1年で何と3巻も発表する勢いは今後も続けてほしいと思います。