ひぐちアサ/おおきく振りかぶって(7) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(7) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(7) (アフタヌーンKC)

2007年1月23日第1刷、講談社
話:★★★☆☆、絵:★★★★☆
 随分前から、一般向けの漫画雑誌はざっと目を通して気になる絵柄の作家が出てきたらチェック入れるだけ。ほとんど雑誌自体は買わなくなり、単行本を買うかどうかの情報はネットでの評判か漫画喫茶での偶然に頼っている。当然そんなに絵柄だけで気に入る作家は多くないので、結果、非工口漫画で購入するのは話が面白いという評判のよいものだけになる。
 この漫画も絵柄はあまり好きではない上に嫌いな野球の話という理由もあって月刊アフタヌーンに掲載されていることすら知らずにいた作品のひとつ。4巻めの単行本が出た頃に某WEBサイトで評判を知って、1巻目から読んでみたら結構おもしろいことに気づいた。その後今回発売の7巻めまで継続している。
 それで、何がおもしろいかと聞かれるといまだにうまく説明できず、高校野球をまじめに漫画化しているとしか言えない。(たぶん)主人公のピッチャー三橋は弱い性格だし、すごい剛速球を投げるわけでもない。いわゆる少年漫画にありがちな「ありえない」ほど飛びぬけた才能と力でねじふせるキャラクタがいないので、自然に監督やキャッチャーのかけひきや選手間の心理戦が浮き上がってくる。そうなると、頭悪くても筋肉注射などの薬物の力で活躍できるのではないかという野球が題材でも、『おもしろく』なってくる。以前にもルールを知らない麻雀漫画の「哭きの竜」や囲碁漫画の「ヒカルの碁」をおもしろいと感じたが、それら題材は演出のひとつでしかなく、おもしろいかどうかは結局のところ別にあるのだろうと思う。しかも今上げた作品はむしろ絵柄は好きなほうではないのに、キャラクタには魅力を感じた。その魅力こそが漫画に限らず私がその作品を気に入るかどうか、つまり本を買うかどうかの重要な判断ポイントになっていると思う。
 さて、この巻は6巻に引き続き強豪・桐青高校との試合。後半に差し掛かり、いよいよ1点の重みが増してくる展開になってきました。強豪らしく相手の監督の采配も見せ場が増え、1点ずつの取り合いの末いよいよ最終回の攻撃というシーンで第7巻は終了します。相変わらず西浦高校の巨乳監督はあまり発言しないなぁ〜などと思いながら第8巻での結末が楽しみ。この試合が終わった後は、そろそろプライベートな展開も少し読んでみたい気がします。