秋田書店/ヤングチャンピオン烈 Vol.5

2007年3月25日発行(偶数月刊)
総合: 話:★★★★☆、絵:★★★★☆、工口:★★☆☆☆(成年向けではない)
 漫画雑誌はきりがないので基本的に取り上げる予定はなかったのですが、ちょっと気になる人が青年向け雑誌に登場していました。最近の青年雑誌には成年コミックで執筆していた作家が多く進出しているわけですが、今号初登場作家は3人いましたが、ひとりめは猫守麻里鈴(ねこのもりまりりん)、ふたりめは春輝(はるき)、最後が堀骨砕三ほりほねさいぞう)です。
 ひとりめの猫守さんは、絵がどちらかといえばおとなしい(濃くない)一般誌向けでしたが、やたらくっきりした性器を描くことで有名(?)な方で、この方の特徴であるその描写のできない世界に登場してくるのは予想外でした。たった8pのショートマンガの初登場としては無難にまとまりすぎてインパクトが弱く、果たして絵柄だけでどれだけ評価されるのか心配な出来でした。ちなみに雑誌カラー表紙を見ると初登場じゃないみたいですね。中身の表紙には初登場の文字があったのですが、あとがきにも初登場というコメントもなかったし。
 春輝さんは、同人誌でも題材にしているように桂正和似の絵柄で工口マンガを描き、人気が出た作家です。もともと商業で書いていた絵はそこまで似てなかったように思いましたが同人でその絵を描きすぎたせいか、似せたほうが売れ行きがよかったせいか真相はわかりませんが、すっかりその方向で絵柄が定着してきたように思います。桂氏自身工口いマンガを描くので、ジャンプ系雑誌には登場できないでしょうが、ここはチャンピオンなのでOKだったのでしょうか。内容は体育倉庫に閉じ込められた男性教諭と女子高生のショートストーリ。女の子が我慢できずにし始めた放尿を手で受ける男子教諭という図式は工口漫画らしくよかったのですが、そのまま行為に突入することもなく、恋がはじまったというエンディングで終わってしまうあたり随分おとなしい内容でした。実際このチャンピオン烈というのはあまり過激な内容ではないので、水準を合わせただけだと思いますが、あとがきでも、挿入無しははじめて、との文字があり編集から指示が出ていたのでしょう。
 堀骨氏は結構過激な絵を描く作家という印象があり、実際腹が裂けそうな挿入シーンなどが普通に登場する工口漫画を多数描かれています。変わった話や絵の実力はあるので全く可能性がないとは思いませんがこうして一般誌に登場したのは正直意外でした。それだけ商業成年誌の世界が厳しいのかもしれません。話のほうは工口とはほとんど無関係な不思議系でした。山奥の鯉の養殖場に出かけて見つけた女の子の形をした魚。いや魚と地元の人は言ってるものの絵は女の子そのもの。話はそれ以上ありませんが、まったく工口漫画家とは思えない方向でこのままがんばるのでしょうか。結構嫌いじゃない内容だったので、応援はしたいですね。
 この雑誌にはその他の作家として、葉月京東鉄神上月まんまる、Cuvie、D.P、あづまゆきみた森たつや永野あかね松山せいじ(成年マンガはない?)、RIKI、めいびいTHE SEIJI和六里ハルと、大変豪華な工口漫画家が執筆されています。もともと上月さんの漫画が読めるので買い始めましたが、どれも読みごたえがあるのでもっと発売ペースを早くしてほしいものです。ちなみに次号(4月17日発売)では、土居坂崎むつきつとむの二人も参戦するようです。久しぶりに気合の入った土居さんの漫画が読めるとよいのですが。これで390円は安いね。

参考:所有する各作家の作品例
左から順に、猫守麻里鈴、春輝、堀骨砕三
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