藤原俊一/アフタースクール (真激COMICS)

アフタースクール (真激COMICS)

アフタースクール (真激COMICS)

2007年3月24日初版
絵:★★★★☆、話:★★☆☆☆、工口:★★★☆☆
 最初に紹介するのは、藤原氏の初単行本です。同人サークル「PARANOIA CAT」の藤原さんです。題名からもわかるように学生たちが主役の話で構成されてます。本の末尾の広告で、COMIC真激に連載されているそうですが見た記憶がありませんでした。最近では何度か桃姫のほうで目にして、いいなと思ってましたがそこに掲載されていた作品がなかったように思います(ちゃんとチェックしてない)。どこで描いていたものなんでしょうか? まさか書き下ろしなんてことはないでしょうけど。まあどちらにしても未読の作品が多いのはやはり買いやすいですね。最近は成年雑誌に限らず少年雑誌なども売れていないようですから(月刊ジャンプも廃刊ですし)販売チャネルの限られている同人誌ではなく商業ベースで書き下ろしをどんどん発表するのも歓迎なんですけどね。実際、雑誌で読んだことがなくても書店でチェックして買うことは多いですから。もちろんあまり雑誌の元気がなくなるのも漫画好きとしては寂しい気はしますが、実際問題、大きくで保管するのは邪魔になるし紙質も悪いので何年も持たないから買わなくなったというのはあります。ちょっと脱線気味ですね。
 この方は基本的に馬鹿でかい胸は描かないでどちらかというとプロポーション(バランス)重視のような気がします(もちろん現実のグラビアなら全員巨乳)。要するに正統派(フェチ、マニア、変態向きじゃない)の絵だということです。どこかで見たような絵柄なのですが、まだ成長過程のようですし、気になるほどではありません。しかし作中で同じ女性の顔や胸や身体の線がばらつくのは早めになんとかしたほうがよいと思います。別に評論家じゃないのでデッサンがどうこう言うつもりもありませんが、読んでいて落ち着かないですから。それでも、好きな絵柄であることには変わりありませんので精進してもらいたいと思います。
 で、この本ですが、話のバリエーションは豊富です。最初は女2人と男1人の幼馴染の恋愛ストーリー、2話めも幼馴染モノですが男女2人だけで女の子がグラビアアイドルという設定。かなり胸の描写には力がはいっており、いい感じです。締めも定番だけど悪くなかったです。3話めは電車痴女もの。痴漢されて困っている(?)女子高生を助けるが、実は喜んでいるのではという直感からエッチにもっていくまでのアプローチが少し新鮮で話としておもしろかったです。4話めは保健室の女先生との話。終始盛り上がってる乳輪の絵がいい味を出していました。内容はいまいちでしたが。
 5話めは学園生活最後の文化祭をきっかけに工口かわいい霧島さんと仲良くなるお話。男の積極的なアプローチは好感もてます。童貞だといいながら初体験の余裕はなんなんでしょう。いまいち冒頭のカラー漫画部分と話がつながっていないのが気になりますが、単行本化の際に付け足したんでしょうか。
 6話めはメイドもの。冒頭に学生であるシーンは出てきますが、そのあとはメイドになって真珠入りのアレでやりまくるハゲオヤジと絡みが続きます。しかし借金の肩代わりでひきとられてメイドをしているという設定は古いですね。でも女の子が精神的に全然折れてなくて「何か、今日はつっかかるわね」と冷静にハゲを分析しているおもしろいシーンがありました。
 7話めは陵辱もの。UMO(作中の読み方。実際は単なるUNOらしい)に参加した女の子が男4人にはめられて(策略の意味ね)、結局はめられる(こっちは、そのとおり)お話です。あまり暗い印象は与えないノリになっています。
 8話めの「二重奏」というお話はピアノ少年にいきなりアプローチしてくる女の子が実は二重人格だったという設定なんですが、別にピアノの二重奏とかけているつもりかもしれませんが、あまりうまくありません(w さておき、冒頭での絡みの後、少女から「次、会うときは何も言わずに強く抱きしめてね」と言われ翌日(髪の色は違うが)その女の子にいきなり抱きつきます。ここまででもよくわからない話ですがまあよしとしましょう。問題はこの少年は抱きつき=(イコール)胸もみになっており、当然「きゃあ」と女の子に叫ばれてしまいます。ここで放ったセリフが大バカで、「何すんのよ」と少女の女友達から怒鳴られると、「何って…その!彼女の望みどおり」「・・・2人でSEXした後に彼女そう言ったんだ」「お互い裸になって」「舌でペロペロ舐めあって」「・・・ボクの上で獣みたいに腰振ってて」「ボク、彼女の膣(なか)にめいっぱい射精した!」とまあ普通なら絶対に言わない話をその辺に大勢いる同級生の前で叫びまくるわけです。どこまでバカなんだか。それにしても最後までよくわからない話でした。
 9話めは女子テニス部部長でスレンダーボディの葛西さんと、その姿を見て顔がゆるむ男子テニス部副部長の吉沢くんのお話。試合前に怪我をした葛西さんをなぐさめようと接近し、いきなりエッチまでもっていくのはさすが工口漫画のなせる技です。これも話は全然膨らまずに終わってしまいました。
 最後のお話は男子教師とやりたいさかりの女子生徒のお話。ひと言で言えば、やるだけ漫画でした。

 思わず全話紹介してしまいましたが、いくつかは中身のない作品になっていることがわかります。巻末の作者の言葉にもありますが、抜き以外の面でも楽しめるようにという姿勢は間違っていないと思うので、これからも良い作品作りを頑張ってほしいと思います。同人は基本的に買う予定はないので商業誌に力を入れてくれることを期待しています。

 いきなり長文になってしまったのでもう一冊は短めにします。