万城目学(まきめまなぶ)/鹿男あをによし

鹿男あをによし

鹿男あをによし

 かなり好きですね、この作品は。前作の「鴨川ホルモー」も悪い意味はなくバカバカしくて楽しい話だったのですが、今回の作品は読み始めからは全く想像していないところまで話が広がり、それなのに細かいエピソードも印象に残る演出と表現が光っていました。ん、なんか帯の感想に似た感想になっちゃいましたが、まあ、でもそれが素直な感想です。話の冒頭からいろんな謎や疑問をちりばめ、ラストまでにほとんど説明をつけてしまうあたりは少々サービス過剰な気もしますが、それだけ破たんなく(もちろん鹿がしゃべったりするんですから現実的という意味ではなく)世界を構築している結果なんでしょう。
 ちなみにベストエピソードは剣道試合でした。前作ではホルモーの試合の描写にやや物足りなさを感じていたのが今回はスムーズに頭の中で映像化され緊迫した勝負の雰囲気が感じられました。(追記# 冷静に考えたら、剣道は経験があるけど、ホルモーなんて経験あるわけないので、剣道の試合のほうに実感が湧くのも当然ですよね。ちょっと褒めすぎました) 着実に力をつけておられるし、今後ますます活躍してくれそうです。両作品とも実写映像化するのもおもしろいと思うんですよね。