米原万里(よねはらまり)/発明マニア

発明マニア

発明マニア

 ロシア語同時通訳者にしてエッセイストの米原万里さんの遺作です。某週刊誌で連載されていたエッセイですが、時事ネタを織り交ぜながら毎回ひとつの発明をおもしろい切り口で考えていく内容になっています。もっとも、これ発明なの?というネタもなかったわけじゃありませんが。
 2003年から書き続けた119ものネタはこうして1冊の本になるとかなりのボリュームでした。数も多くてどの話が一番とは言えないのですが、適当にピックアップすると、たとえば『眼力で人を殺す方法』では、なんと、リアルに人を殺す眼力のトレーニング方法が紹介されています。ロシアのハバロフスク米原さんの友人が出会った男は、手も触れないのに凶悪な殺人犯を4人も倒したそうです(一人は死亡、残り3人は精神障害)。興味をもったその友人は男と親しくなり、その結果驚くべき真実を知ったというのだから、ネタだネタだと思いつつも、興味を引きます。トレーニングのポイントになるのが、酒、タバコ、セックスがご法度という点。はい、これで脱落、という人が大半でしょう(笑。仙人のような禁欲生活を送る必要があるそうです。確かに眼からビ〜ム!じゃありませんけど既に人の域を超えた話ですから。さらに、ヨガ(これはまあなんとか)、催眠術(ん〜、ちょっと難しい?)、テレパシー(おいっ)などの素養が必要らしいのですが、基礎的なトレーニング方法としてエクササイズ1〜4が紹介されていました。まあネタに違いないのですが、視力も衰えているわけだし、ちょっと実践してみようかなぁと思いました。(^^;
 エッセイは普段あまり読まないのですが、この本は私的には久々のヒットでした。