桜庭一樹/青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

 おっさんが読む本ではない気はしましたが、女子高の女はバカだなぁと顔には出さず心の内で笑いながら楽しく読み通すことができました。桜庭さんの本を読んだのはまだ「赤朽葉家の伝説」に続く2冊目ですが、安定しておもしろい話を創ることのできる作家だと感じています。
 この本は、読書クラブという伝統のある女子高では異臭を放つ集団(部活動)を核として、100年に及ぶ学園の歴史の中で表には出ない興味深いエピソードを時代ごとのクラブ員が秘密裏に記録し残してきた物語が綴られた作品です。学園の創立者のエピソードもおもしろかったですが、女子高らしい宝塚のようなノリが感じられる中で「異形」と表現される読書クラブ員が起こす華やかなだけでない登場人物やエピソードが飽きさせない展開を提供していました。禁書だらけの古書に囲まれた空間というのは想像するだけで楽しそうなんですが、ラストエピソードで、そういう空間に化け猫のような老女たちがたむろして本に読みふけるというシーンが出てくるのですが怖いもの見たさでそんな空間に死ぬまでに立ち会ってみたいものだと思いました。稀こう本を探しに(もちろん期待してるわけではなく探す行為自体を楽しんでいるわけですが)時々上野や神保町などでその点の本屋に足を運んでいますが、自費出版で通し番号の入った濃い内容の本を見つけると不思議と嬉しくなってしまいます。もしそんな本で囲まれた日には...。どこか読書クラブ員に共感持てるところもあって、より楽しめたのかもしれません。
 ちなみにこの本で引用された文献はひとつも読んだものがありませんでした。「マクベス」は概要とさわりくらいは読んだ記憶はありますが、これらの本の内容を知っていればもっと楽しめたのかもしれません。