福岡伸一/生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 非常にいい本でした。昔のことを思い出したり(私もアイソトープを使った体内代謝の追跡研究をしていた頃があったので)、おもしろさに興奮しながら一気に読みました。先端科学技術の研究開発者なら、程度の差はあれ、経験するだろう激しく厳しい競争の世界の一部をこれだけの筆致で書かれた本はあまり記憶にありません。遺伝子工学誕生の舞台裏も知らないエピソードだらけで大変興味深く読み楽しむことができました。生物の定義についても大変共感できたし、最期のGP2に関わるエピソードは下手な小説より遥かに魅せる話だったと思います。生命の仕組みの解明が、如何に険しく魅力的であるかを改めて感じさせる内容でした。