劇場版 CLANNAD(クラナド)

CLANNAD 2008年カレンダー 原作:Key、監督:出崎統(でざきおさむ)、出演キャラクタ:岡崎朋也(ともや)、古河渚(なぎさ)、坂上智代(ともよ)、藤林杏(きょう)、春原陽平(ようへい)、他

 一人で観てきました (^^*;。来場者は女の子が数名で残りはほぼオタな人々。ひとめでアレとわかる風貌はもっと自粛してほしいと思います(笑。私もその一人だったんでしょうか...。それはともかく、この歳になるとアニメに限らず恋愛や感動系映画は観に行きづらくなります。涙腺がゆるくなってしまって、没頭して観てしまうと、簡単に泣いちゃうんですよね。もうオープニングでメグメル(eufoniusの歌うOP曲)が流れただけでこみ上げるものが...早すぎ。そうそう、映画が始まる前の場内アナウンス(携帯電話禁止など)が藤林杏(きょう)の声でした。Wikipediaでは古河渚(なぎさ)と書いてましたので、もしかすると上映回の度に違うキャラクタになってるのかもしれません。あっ、ちなみに私はPC版しかプレイしていないので声のほうはCMで聞いた渚以外知りませんでした。結構イメージに近いキャスティングだったと思います。
 さて、全く映画版のストーリーについては予備知識を仕込まずに観に行きましたが、結論を言えば思っていたより良かったという感想です。全作よりはゲームを理解してくれている気がしたし心を打つものはありました。尺が違うので最初からゲームと同じものを求めていませんでしたが、それでもやはり感動や悲しみの深さは物足りなかったなぁ。でも音楽が流れるとゲームでの感動がフラッシュバックされ、かなり泣きそうなヤバい状態になってました。実際劇場版Airより泣ける話になってました。ただ、ゲームをプレイしてない人にはどうだったんでしょうね。
 ネタばれになりますが、映画のストーリーは基本的に汐(うしお)シナリオがベースになっています。映画でも渚がいなくなったために主人公の朋也(ともや)はそのショックからなかなか立ち直れなくなるのですが、映画の表現だけだと『普通に恋愛結婚した新婚の夫が妻を亡くしてショックを受けている』以上の理解はされないのじゃないかと思いました(もちろんこれもとてつもなく大きなショックと悲しみだと思いますが)。観客としての傍観者ではこの死が悲しい出来事であることを理解しても、そこまでだろうなと思います。一方、ゲームは主人公の朋也の立場でプレイしていくため(名前も変えられます)、自然に自分とオーバーラップさせてしまうように作られています。しかも、長いプレイ時間の中で、渚シナリオに突入する頃には、朋也が文字通り、心の底から渚を必要とし愛していることを感じ理解していました。朋也の、渚さえ居たら他には何もいらないとさえ感じさせる激しさにはうらやましさすら感じたくらいです。そんな朋也だからこそ、渚が亡くなったことは彼の心の一部を失うことに等しく、汐を受け入れる余地がないことを、難しいながらも理解できたように思います。ゲームの汐シナリオは悲劇でしかないため、これ以上語りたくありませんが、映画でのラストではこの辺のゲームで感じていた悲しみなどが音楽とともに呼び戻されて、一層深い感動を感じました。渚のことは残念でしたが、これから汐と朋也がきっと幸せに生きていけると感じさせる喜びがありました。
 Key原作の映画はやはりゲームを先にコンプリートしてから観てほしいと思います。映画だけを先に観た場合でもゲームを終えてからもう一度観たら必ず違って見えると思います。これらをつなぐのは間違いなく絵じゃなくて音楽の力だと思います。eufoniusriyaさんの声は透明感があるのですが声楽家のように安定したものじゃなく、どこか弱弱しく不安定なものを感じさせます。でもそれこそが彼女の声の魅力なんでしょうし私はそう感じています。映画を観終わった後、先行発売のSOUND TRACKを買いました。既にゲームのは持っていたのですが、歌いっぷりは進歩してたしアレンジも違ったので満足感あります。歌詞カードを見ると、だんご大家族の作詞を監督がやっていたのはちょっと驚きでした。Liaさんの歌も大変よかったです。
 長文になってしまいましたが、最後に一言。監督の演出は今回も肌に合わないというか違和感(なとなく古い?)を感じました。それでも今回は原作ファンでも比較的見やすい内容になっていたと思うので感想は悪くありません。でも次回Key原作の映画化があるなら、別のセンスを持つ監督で観てみたいと思います。しかし次はないかなぁ。最新作のリトルバスターズ、1周はしたけどその後止まってます。話は悪くないんでしょうけど野球というスポーツがつまらないイメージしかないので(好きな人には申し訳ないですが)拒否反応が出ています。最後かもしれないKey映画だと思うと少し寂しい気がしました。