三崎亜記/鼓笛隊の襲来

話:■■■■□、次回購入意欲:♪♪♪♪

鼓笛隊の襲来

鼓笛隊の襲来

4冊めの短編集です。前々作の「バスジャック」はもうちょいでしたが、その他の2冊は非常にお気に入りの作家です。今回は巻頭作品をタイトルにして全9作の構成。毎回ちょっと変な世界を舞台に物語を展開されるのですが今回もその辺のテーストはよく出てました。表題の「鼓笛隊の襲来」という作品は、まるで台風が来るかのように鼓笛隊がやってくるお話。はい、訳わかりませんね。台風が激しい風雨や雷で街を襲うとすれば、ここで言う鼓笛隊というのは激しい音ではなくまさにこの言葉がイメージさせる通りの音を奏でる集団が街を襲うというもの。そんなものが来たところでどうもならないかというと、その懐かしくもある鼓笛隊のリズムを聴いてしまうと耐性なしでは幼児退行して付いて行ってしまうのです。普通の人が書いたらバカバカしい単なる一発ネタだなと失笑ものになるところですが、その辺は世代を超えた親子の絆みたいなものを味付けに使ってまとめられてました。まあ、正直個人的には微妙なところもありましたけど、これこそが三崎作品だと思うのでOK。その他の話も心温まるお話からちょっと怖いものまで、一気に読みとおしてしまいました(決して文字が大きいからじゃなく)。次はまた長編を期待したいですね。