柏木ハルコ/地平線でダンス Vol.4

絵:★★★★★、話:■■■■■、愛:♥♥♥♥♡、次回作購入意欲:♪♪♪♪♪

[isbn:9784091817709:detail] 第4巻。今、先の展開が気になって仕方がない作品のひとつ。タイムトラベルやパラレルワールドの概念を最先端物理や数学のエッセンスとともに現実感のある近未来社会に取り込み、柏木さん独特の絵の魅力と不思議な恋愛感が魅力ある作品世界を築き上げています。個人的には春日琴理さえ幸せになってくれたらもうどんな展開になってもよくなってきているのですが、まだまだ楽にさせてくれないようです。とりあえず私も平行世界のひとつで幸せな二人((相手は旦那じゃない))が見られて嬉しかったです。

 さて、初登場から怪しさ満点で絶対なんかやらかすと警戒しまくりだったナナですがここにきて、もはやすべての元凶が彼女にあるような気すらしてきました。未だ謎に包まれ、この巻で初めて幼少時代にナナが目にしていた世界が示されましたが謎は深まるばかり。いったい何なんだこの女は?!
 しかし、そんな彼女に体を移した琴理が登場。もちろん顔はナナのまま。ほんの数ページ前までむかつく女だったはずが、琴理のチャームポイントだった赤みがかった頬で、彼女の口調で振る舞うだけで、ナナの邪悪な陰が消える。こういう演出はおもしろいですね。最も危険な人物がヒロインに体を乗っ取られ一旦人格を消し、その直後はいつナナが出てくるんだ、どこに行ったんだと読者視点でも緊張を与えながら、竜ヶ崎と琴理の共同研究が進むにつれ次第にそれを忘れさせる。そして、二人の研究の成果が出たその日に・・・。とまあ、演出たっぷりにドラマは進んでいくわけです。はぁ、早く5巻が読みたい。また気になる終わり方してるし..
 細かい話をしていたらキリがないんですが、何気に二人を救っている竜ヶ崎の奥さん(籍入ってたっけ?)がおもしろいわ。顔は元々きついし、怒って当然のことをされてるのに何となく許してくれる度量(女性に使う言葉じゃないかも)を感じる。やっぱ男にはそういう細かい理屈抜きに許してくれる女が必要だと思ったね。そんな女性にまた泣かせるようなことをするナナには全くむかつく。ここまでヒールになる理由がまた謎なんだが。しかし、ほんとこの奥さん「糟糠(そうこう)の妻」だよ。ナナもたまにはいい事言う。
(表紙絵は琴理が支配しているナナさん。4/26現在表紙絵なし)