榎本ナリコ*1/世界制服 ユニ・フォーム #1

絵:★★★★☆、話:■■■■□、愛:♥♥♥♡♡、次回作購入意欲:♪♪♪♪♪

世界制服 1―ユニ・フォーム (サンデーGXコミックス)

世界制服 1―ユニ・フォーム (サンデーGXコミックス)

 同タイトルで2巻に続くようですが、すべて読み切りの作品集です。今回初めて榎本さんの本を読むため、過去の作品との違い(帯に新境地に挑戦したとのこと)はわかりませんが、既刊の表紙絵を見る限りギャグとか絶対に描きそうにない作家に見えます。絵柄は記憶にあったのでほんとに読んだこと無いのか確かではありませんが、少なくともこの本の作品はすべて初見でした。月刊サンデーGXの存在は知ってますが手にしたこともなかったので当然ですが。
 巻頭の作品「高卒エスパー光」。名前は例のパロディーなんでしょうけど名前は別物。ヒキコモリ青年 光(ひかる)の元にある日女子高生のヨーコが訪問。彼女はエスパーでうっかり『イヤボーン*1』して家や学校を消してしまったため、帰るところがなくなり、以前雑誌で騒がれた、自分と同じエスパーの光を頼ってきたとのこと。しかし、実際には10円玉を動かす程度の力しかないのにヨーコのほうは宇宙征服すら出来そうな超エスパー*2。とまあキャラ設定はすごいんですが、ヨーコもいつのまにか猫耳メイド姿になっていたりして何故かオタク向けテイストの仕上がり。もしかしてGXって雑誌がそういう人向けなのかな? ともかく、話はおもしろかったですね。読み切りで終わらせるのが惜しいほどに。「アンチエイジ」という作品は義母(おかあさん)が見た目ロリというのは最早珍しい設定ではありませんが、アンチエイジングによって見た目だけ若くなっていて少子化の影響もあって高校がそういう若返った中年層が学校に通うのを受け入れているという世界観がおもしろい。主婦は暇なのでカルチャースクール感覚で通うのはわかるんですが、男も主夫やってる人たちなのかも。などなど全6作品を収録。表紙絵にもなっているのは「未来青年の苦難*3」。どれもネタ色が強すぎて長期連載は難しい感じですが、1話完結は少々もったいない出来でした。まあ2巻とかで再登場するかもしれませんけど。
 絵柄の影響もあってか腹の底から笑うというタイプのギャグにはなっていませんが、「最終兵器彼氏」でG8サミットの1シーン。白板に書かれたゆるゆるの議事録に爆笑。「イッツア・スモール・ワールド」で新しく購入した女子高生フィギュアに主人公がチューした後のモエナ*4の顔も予想外の変貌に吹き出してしまいました。後者などはよくあるギャグ表現なんですが普段の絵柄が逆にいきてる気がしました。あとがきを読む限り、笑いのセンス感じるし、作者自身結構楽しんでるようだし、それは伝わってきたように思います。

*1:悲しいことがあった時「いやぁ〜」と叫んで「ボンッ」と物体を破壊してしまうこと

*2:超人ロックをも超えてるんじゃないかと

*3:元ネタは未来少年コ○ン

*4:それまで一番お気に入りだったフィギュア