曽田正人/MOON (2)

絵:★★★★☆、話:■■■■■、愛:♥♥♥♥♡、次回購入意欲:♪♪♪♪♪

Moon 2―昴〈スバル〉ソリチュードスタンディング (ビッグコミックス)

Moon 2―昴〈スバル〉ソリチュードスタンディング (ビッグコミックス)

 やっぱりイイよなぁ、曽田氏の作品は。熱さが伝わってくるし、ぐいぐい話に引っ張られて雑誌だと雑に見えていた描線も気になるどころか、それがいいという気になってくる。この巻はストーリーの上でも非常に大きなターニングポイントになっており、既刊「昴」の新章として再開されたこの「MOON」シリーズでほんとに描こうとしている部分が始まったのかもしれません。
 前半で、すばるは本気の100%でパ・ド・ドゥを踊れるパートーナー盲目のダンサー ニコをついに見つけ、バレエを楽しみにしてくれる街の人たちにも囲まれ、好きなバレエだけをやって暮らしていく夢を叶えます。そんな幸せな街での暮らしとの対比も効かせながら、いよいよ日本公演の話が決まることになります。既刊を読んでいる読者なら、すばるが日本に行きたくないのをなんとなくでも理解できると思うのですが、ニコのプロとしての言葉がすばるの日本行きを決意させます。ああいう言い方をしてスバルに日本行きを納得させるパートーナーのニコはほんと格好いい。そんな中で日本の病院にシーンは移り、あの映像が当時の看護師の手で録画されていたことが発覚。個室なのにいつも扉を開けていたとしても部屋の奥で月明かりを背景にしたすばるの顔がはっきり映る高性能ビデオカメラがあったんだな、と嫌みを言いたくなるような気分。こういうのは要らない演出だと思うのですよね。確かに日本の病院ならこういうことやりそうですが。結局公演直前のテレビの特集の前にその映像が持ち込まれ*1無断で流されことに。当然、すばるは精神的に乱されることになるのですが、このとき、ニコがそばにいて気持ちを理解してくれたので最悪な状態は回避されたようにも見えます。はたして公演は無事に成功するのか・・・。3巻につづく。

*1:ご丁寧にDVDに焼き直し