赤銅茉莉(あかがねまつり)/マシマロすてでぃ

絵:★★★★★、話:■■■■■、愛:♥♥♥♥♥、次回作購入意欲:♪♪♪♪♪

[isbn:9784862524553:detail] 2年ぶりの新刊です。この本の表紙絵は好きですね。いつも丁寧な仕上がりとピュアな男女の赤面ラブエロストーリー(帯の惹き句)がこの作家の魅力です。まだ2冊目ですが、安定した作画と独特の雰囲気がある絵柄が印象的です。例えばこの作家の描く男性はがたいがしっかりしているのが特徴で、前作の本では登場する全男性が太い首回りに広い背中の長身男性で占められ、それでいて純情な演出が効いているので男性キャラだけを見ているとBLや少女漫画の香りがします。ただし、女の子が主役だしエッチもしっかり描けているので作品全体でそんなBL臭はなく、むしろ大きな男性とのコントラストも効いて小っちゃくて可愛い女の子の魅力がより引き出されているのかもしれません。今回の本では、4作目の「よごれたてのひら」に可愛い系のメガネ男子も登場し男性キャラも幅が広がってました。着実に作画技術やセンスがレベルアップしている印象を受けました。

 ストーリー的には、女の子の気持ちが相手の男の子になかなか気づいてもらえず寂しい思いをしていたのに、実は両思いだったことがわかり、ぶわっと溢れ出る感情とともに涙を浮かべながら愛を確かめ合う・・・みたいな展開が軸になっています。二人のドキドキ感が伝わってくるし、互いに思い遣る気持ちもよく描けていて、甘すぎるほどのラブストーリーに仕上がっています。特に巻頭の作品「微熱Sister」では、姉から弟に恋人にして欲しいというお願いの返事代わりにキスを求めるシーンがあるのですが、2pに渡る長いキスは大きな見せ場のひとつだったと思います。ストーリー上変態的なラーゲは出てきませんが雰囲気を壊さない範囲でエロもよく描けていると思うし、全10作品、良作ぞろいだったと思います。
 元々フランス書院パピポでデビューされたようですが、メガストア以外でもメンズヤングヤングコミックにも掲載されていたようだし、今後も注目していきたい作家のひとりです。やはり最大の問題は遅筆でしょうね。ご本人も気にされているようですが、もうちょっと早いペースで読みたいかな。ただその結果濃密な仕上げが簡素になってしまうなら寂しい気がするし、この辺は難しいところですよね。