辻風(つじかぜ)/後ろから前から

絵柄&魅力:★★★★☆、設定&話:★★★★☆、愛&エロス:★★★☆☆;、総評&次巻期待度:★★★★

後ろから前から (真激COMICS)

後ろから前から (真激COMICS)

 このタイトルを見ると思い出すあの歌とは多分無関係。ともかく、表紙絵を除いて、月極氏の後にこの巻頭カラーの色塗りはきつかった。もっとも反動で表紙絵のボリューム感あるおっぱいはいい感じです。やっぱりエロマンガ的にはこのくらいあったほうが華があるね。…と表紙絵で期待したのもつかの間、本編に入るとそのおっぱいはやや萎み気味。それは言い過ぎとしても、乳房の描線にまったく愛を感じないのはガックリ。おっぱい漫画ではないのだからと自分に言い聞かせるも期待させる表紙絵が罪な本でした。
 内容は帯にあるとおり、SだったりMだったりするお姉さん(先生や奥様)が主なヒロイン。作品の方向性とかキャラクタはかなり好みなので次回作以降に強く期待しています。ただし、小生意気なガキ(♂)が大人の女を操るお話は萎え萎えなので、ほ・ん・と、やめて欲しい。可愛い気のあるショタならいいけど(ぉぃ、口先だけで根拠なく偉そうな少年は出てくるだけでイライラするんですよね、昔から。辻風氏はこういうキャラを今後も多用しそうなので次回作を買う時は要注意。まあどの作品でも後半になると少し許せる展開になっているのは救い。
 収録は全9話でどれも読み切りですが、Sの九頭(くがらし)先生のお話だけは「急ぎの電車は気をつけて」と「相談相手に気をつけて」の2話収録。女教師モノは他に、Mの美咲先生が登場する「生意気なご主人様」と、普段Sだけど攻められるとMになる先生が登場する「脅迫コミュニケーション」の2作。他は母娘丼、天然ボケ、凌辱メイド、返済ヤラレ妻とバリエーションは十分。
 中でも天然ボケと書いた作品「お風呂でハダカのおつきあい」はメガネなしだとほとんど前が見えない女性が銭湯に入る寸前けつまずいてメガネを壊し、そのまま男湯へ・・・。こういうシチュエーションの漫画は過去に読んだことはあるのですが、この作品はその後が強引。一応男連中が声色を変えて話しているという状況は理解できるのですが、周囲を何人もの男が取り囲んでシャンプーといいながらザーメンをかけまくっているだけでなく、おっぱいやクリをきゅっきゅっと揉みしごいてM字開脚状態で持ち上げられているというのに放った科白は『もしかしてココ…男湯なんじゃあ…」。さすがにばれたと思い、慌てて、店の者ですがお客様に特別サービス中でしたという男の苦しいセリフも鵜呑みにして、今度はバックで中出しやら何やらと色々され放題…。工口マンガ的強引展開ですが、妙に楽しい作品でした。
 全体的に、絵の描き込み度は物足りないですが(特に局部)、シチュエーション的にはおもしろい作品がいくつかあったので初単行本の作品としては十分満足できました。詳しく書かなかったのですが、女性専用車両に飛び乗ったら痴女だらけだったというお話はお初じゃないけど好きですね。たまに仕事で使う路線で2度も乗り込んでしまい慌てて飛び出した経験がある私としては、いつか扉が閉まる寸前に飛び乗ってしまうこともあるんじゃないかと馬鹿な妄想をしてみたり…。実際は楽しいことなどあるはずもないので、気をつけるしかないんですが。