原中三十四(はらなかさとし):著者、タコ焼き:イラスト/じんじゃえーる!

総評:★★★★

じんじゃえーる! (HJ文庫)

じんじゃえーる! (HJ文庫)

 幼なじみのかえでに恋する剣児だが、高校生になって益々魅力を増す彼女に周囲の男どもは告白攻勢をかけてくる。いまだ告白できずにいる不甲斐ない剣児は、まったく人気のない春奈神社の境内で自主練の剣の打ち込みをしながら「神様、かえでに近づく輩を排除してくれ」などと寄りつくライバルへの恨みつらみを叫んでいるらしい。毎朝夕の稽古で神様が傍にいるかのように挨拶の声を投げ、祈り続け、彼はその神社のただ1人の信者となった。
 誰も信じる人がいなくなると神様は死んじゃうらしく春奈神社もまた一度は信者が居なくなり神様が消えた神社のひとつ。そこにこうして剣児が熱心に神様にすがった結果、誕生したのが可愛い少女の姿をした新米神様 春奈。神様の思いはたった一人の信者をただ大切にしようとしているだけなのか、それとも…。
 少年の力で美少女の神様降臨!なんて展開を聞くと微妙に既視感がありましたが実際読んでみるとキャラクタ性やストーリーともにオリジナリティを感じました。さすがは佳作受賞作品です。