鮎川歩:著者、染谷:イラスト/クイックセーブ&ロード
総評:★★★★★
- 作者: 鮎川歩,染谷
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/08/18
- メディア: 文庫
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作品の開始早々、主人公榊潔人(さかききよと)がいつものように高所から飛び込んで落ちている最中、なんと同じように飛び込んで地面に激突しようとしている女の子の姿が!? しかも死の寸前に見た彼女の顔は幼なじみの梓由衣(あずさゆい)! なかなかのつかみ*2だと感心しつつ、話が進むにつれ見えてきたのが、現在世間を騒がしている猟奇殺人事件「眼球抉り(えぐり)」と彼女との関係・・・。彼女の自殺原因が明らかになっていくのと、この事件の全貌が見えてくるのが非常にいい感じにミックスされてて、推理モノとしてもおもしろい出来でした。潔人が副会長をつとめる超能力研究会の会長 常磐先輩(♀)の常人離れした洞察力と推理センスを認めているにもかかわらず、最後まで事件解決の助けを求めなかった点など納得しづらい部分もありましたが、考えが浅くて問題を起こすものの馬鹿すぎないところで踏ん張っている主人公が好感持てたのは一番良かった点かもしれません。その途中から常盤先輩の助けを求めなくなる理由もあの状況から二度と巻き込みたくないと思った気持ちからだと理解できなくはないんですけど、やはり浅はかじゃないかと。一人だと不安だなぁと思ってたら案の定、大失態をやらかすし、もうあれしかないんじゃ?と思ってたら・・・。
ある意味、先がそこそこ読める展開ではあったのですが、結局それが一番おもしろい話の流れであったので何の問題もありませんでした。殺伐とした雰囲気で始まった作品でしたが、途中からの彼の必死の行動(方法は自殺することとはいえ)には熱いものを感じました。ラストまで書ききった感があったと思います。ということで次の新作(さすがにこの作品は続けないでしょう)も楽しみにしたいと思います。