御堂彰彦(おどうあきひこ)/付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

話:★★★☆☆、絵:★★☆☆☆
 この方の小説はこの作品が最初になります。もともとアンティークを見ながら妄想に耽ることもあるくらいなので、この手の題材が嫌いじゃないです。それに新しい作家の発掘もせっせとやらないと読みたい小説がなくなってしまうという切迫したものもあり、購入した次第です。
 評価は辛めですが、平均以下と言うつもりはなく、買って損したなどとは全く感じることはない出来だったと思います。4話から成る短編集になっており、もちろんアンティークを題材にそれぞれ話が展開するのですが、登場人物以外ほんとに独立してしまっているんですよね。こういう場合、キャラが強ければむしろ面白く感じるのですが、4話になるまでほとんど無表情ヒロインの咲が動いてない。もちろん存在が希薄だったからこそ4話のデレが映えたという考えもありますが、そもそもこの子への興味が湧くようなエピソードが3話まで少なすぎないでしょうか。
 細かい話ですが、4話の最後のほうで黒いペンダントをプレゼントするのですが、渡すときから読者へネタを明かすような記述をしていますが、やっぱりあれは最後までこれまでのプレゼントの一環のような扱いにして、もっとサプライズを読者にも与えてほしかったように思うのですがそういう展開にするのは難しいのかなぁ、などなど、もう一歩大ヒットするには弱い展開に不満を感じてしまいます。あまり突拍子もない展開や媚びるような描写も嫌いなので勝手なことばかり言ってますが、ちょっとこれでは他の作品を読むのは後回しになりそうです。まだまだ未読の作家は多いですからね。