いけださくら/むにちち

絵:★★★★☆、話:■■■■□、愛:♥♥♥♥♡、次回作購入意欲:♪♪♪♪

むにちち (メガストアコミックスシリーズ No. 179)

むにちち (メガストアコミックスシリーズ No. 179)

 初単行本ですね。表紙絵は掲載作品に登場する巫女さん綴(つづる)。涼しげな色合いにすべすべでぷにぷにな白い肌がまぶしい素敵な絵です。カバーの下には別バージョンのカラーイラストもありました。絵も雰囲気も可愛らしいしお話はどれもラブラブなので読んでいるうちに自然と顔がほころんできます。仕事は相変わらずストレスの嵐ですが、いい気分転換になる「使える本」です。
 基本的に絵の技術は高く、原稿の白地を効果的に使いながら必要最小限の線やトーンを加えた見やすい絵で、表紙絵同様に肌の白さが印象的な絵柄です。髪型はセミロングが多い印象ですがリボンなどのアクセサリを付けるだけでなく後ろ髪を少し編んでみたり、こだわりを感じますね。ストーリーはどれも男女二人だけの世界なんですが必ず違う時間のエピソードが入っていて*1、ほぼすべての作品で少し前、あるいは小さい頃のエピソードが入っています。この辺りは二人の行為がある程度の時間を一緒に過ごしてきた結果としての繋がりであることを作者は大事にしているんでしょうか。その後、作者のさくらさんのHPを読んで、考えた上での演出だと知りました。そう考えると、一部の作品で語尾に『…ですの』などが付いているのも、そのテーマを意識した演出なのかな。
 作品の大半はメガストアのほうで既読でしたが、一番印象に残っていたのは「まつりこと」という作品。学校で風紀委員をしている法子は幼なじみの伸くんの頼みで遅刻を見逃してあげる代わりにお祭りでデートをすることに。そのお祭りでも風紀委員として不純異性交遊を取り締まるんだと意気込んでいた法子ですが、いろいろあって野外エッチ(w 『取り締まるはずだったのに、逆になったよな』の言葉に『私たちのは… 不純異性交遊ではないのです♡』の返し。その通りだと言ってしまえばそれまでなんですけど、法子らしさも出てたし、記憶に残るいい言葉でした。
 巻末のおまけ4コマで、ラップ音ネタも気になりますが、飲み会で一緒になった二人の女性は単なるお友達なんでしょうか。新刊の棚卸しをしてたらしいので書店店員? ともあれ、これがリアル日常だとすると作風通りの人柄が伝わってきます。正直いろいろよくなって欲しいところがないわけじゃないんですけど、読んで幸せな気分になれる作品が描ける作家は応援していきたいです。

*1:「ともえ」という双子の女の子のお話はそれほどでもないんですが