監督:クリストファー・ノーラン/ダークナイト (The Dark Knight)
映像:★★★★★、話:■■■■□、美:♥♥♥♥♥、次回作期待感:♪♪♪♪♪
- 出版社/メーカー: シネマ・タプート
- メディア:
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
ともかく、良すぎて泣けそうになったのは久しぶりでした。脚本も手がけた監督のクリストファー・ノーランの才能を存分に感じることができたのは言うまでもなく、撮影(ウォーリー・フィスター)も新しい手法があったわけではないと思いますがこのシリーズでドキュメンタリー的にハンディカメラを使ったシーンは明らかにこれまでのバットマン作品と違う印象を与える大きな効果があったと思います。音楽のほうも、効果音とも違うのに明確な主旋律も聴き取れない印象的な作りでした。わかりやすいテーマ曲が流れるのも悪いとはいわないけど、如何にもヒーロー登場みたいな音楽を使うのはこの作品には関しては適さない気がします。まあようするにほとんど全てがよかったということです。
反面、こういう短い時間で詰め込んだ映画ではいつも感じることなんですが、光の騎士(White Knight)と呼ばれる新任検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)がジョーカー(ヒース・レジャー)に闇に堕とされてしまう部分は少し時間不足で説得力が弱かったです。そもそも光の騎士としての活躍も少ししか見せられないのでブルース・ウェイン/バットマン(クリスチャン・ベール)が彼を信じるといった言葉も正直観てる最中は本気で言っているのかどうかがわからなかったです。まあ、それだけにブルースの高潔な正義(字幕訳)に感動したとも言えますけど。この辺が時間枠のある商業映画の限界でしょうかね。逆にこの時間でここまでの完成度にした点は絶賛モノなんですが。まあ、ヒロイン(?)はスパイダーマン同様にイマイチでしたがそこに焦点あてる作品でもないのでスルー。それから、ゴッサムシティをこれまでの映画(もちろん前作は省く)では比較的特別な街として表現していたものが多いと感じていましたが、この作品では犯罪の多発するアメリカにあるひとつの街として描かれていた(と思う)点は私は支持したいです。さすがに今自分が住んでいる街とダブらせることはできませんが、どこか別の世界の話ではないとする監督の考えがあったんじゃないでしょうか。
最後に、遺作ではないそうですが、この映画の後まもなく亡くなったヒース・レジャーの怪演は光ってました。以前ジョーカーを演じた名優ジャック・ニコルソンと比較する意味はありませんけど、少なくともそちらが良かったなどとは一瞬も感じませんでした。惜しい俳優を失ったと思います。