ながしま超助/ぶらコン (1)

絵:■■■■□、話:■■■■■、愛:■■■■□、次回作購入意欲:■■■■■

ぶらコン 1 (芳文社コミックス)

ぶらコン 1 (芳文社コミックス)

 ながしま超助氏の新刊です。ストーリーは、抜群の着心地と斬新なデザインで若い女性を中心に大人気の下着デザイナー 神谷純が、スランプ脱出のため下着ショップで働きながら女性の悩みを下着のフィッティングで解決していくというもの。天才デザイナーで神がかり的なフィッティングセンス、一瞬で女性のつけている下着が合っているかどうかを見抜く眼力(?)、そしてフィッティングしてもらった女性はこれまでになかった幸せを感じるなど、どうしてもこの職業を主人公にすると長く連載されている弓月光氏の「甘い生活」が連想されてしまいますが、かなり味付けが違う作品に仕上がってると思いました。基本的に各エピソードを1話か2話で完結するようにしていて、悩みを持つ女性が登場→下着が合ってないのが原因だと見抜く→フィッティング→下着だけでなく女性の表情や気持ちの持ちようまでが変化→悩み解消、という展開を軸に短いページ数ながら読み応えある内容になってます。主人公が終始ベロを出したままという現代のキャラメイクとしてはあり得ない変態顔。単にシリアスすぎない雰囲気を演出するためのながしま氏流の味付けかと思ってたら、第4話の反応を見る限りホンモノの変態か(w いやまあ、ホンモノの「気高い」女性がいたら私もああいう反応になるかもしれませんが。
 漫画TIMESという誌面は全くエロを禁じているわけでもありませんが、この作品はそっちの期待ではなくストーリーを楽しむ目的で買って欲しいと思います。女性を美しく魅せる下着のすばらしさを豊富なおっぱい描写で楽しませてくれるのも作品の見所ではありますが、感動的なお話が多く、これは長く続いて欲しいシリーズになりそうです。印象に残ったのはモデル桐山春奈のお話で、リストカットする小さいコマ割りの後に真っ黒にベタ塗りした後ろ髪に始まり徐々に露わになる彼女が抱える狂気と不安。「ひとりじゃ眠れないよ…」とつぶやく彼女の表情はほんと恐かったです。シリアス展開もこれまで描かれたことはありましたがここまで踏み込んだ描写は新しい表現の幅を感じました。こういう描写があったからこそ、最後に見せた彼女の涙にはジーンと来ましたね。
 下着というアイテムを前面に出したストーリーではありますが、描きたいのは女性自身であり心の傷や愛し方などテーマは深いと感じました。などと深読みしつつ、少し時間を置いて読み直したら、おっぱいは谷間くっきりの巨乳だけじゃなく、やや離れたおっぱいや垂れ乳でもすばらしいんだというおっぱい讃歌の漫画のような気も・・・。最近爆乳キャラが減ったと寂しく感じるファンに対して新たな楽しみ方を魅せようとしているのかと思ってみたり。