The Wrestler レスラー/ダーレン・アロノフスキー:監督、ミッキー・ローク:主演

ストーリー:■■■■□、演技:■■■■□、愛:■■□□□、総評:■■■■

 日本で公開されてすぐに観に行こうと思った動機が三沢の死と無関係だったとは思えませんが、とにかく観てきました。思い切り冷めた見方をすれば、どうしようもない生き方をしている男の話といえなくもないのですが、ラストシーンから暗転した瞬間、目尻が熱くなっている自分に気づきました。
 主人公ランディはかつてはプロレスリングで栄光を掴んだ男。歳とともに人気は落ち、現在は家賃も払えず車中泊するようなドサ廻りの日々を送っている。そんなある日、無茶な流血戦とステロイド剤などの薬の服用がたたって試合後倒れてしまう。幸い命はとりとめたもののバイパス手術をした心臓ではもうリングには立てないと宣告される。そんな彼がお気に入りのストリッパー キャシディ*1にどうすればいいか相談し、娘と会うことを勧められるが、一度は捨てた家族。果たして・・・。
 映画を観ながら、ふと猪木のことを思い出しました。私はかろうじて全盛期の彼の強さを目の当たりにする機会が何度かあり、それが年齢を負うにつれて試合の前半はほとんど対戦相手に好きなような攻められるのに、最後の最後で延髄切り一発で敵を沈める試合の多さに言いようのない寂しさを感じたことがありました。ランディも同じように最後には試合で勝ち、会場を大いに盛り上げる役割を果たしていたわけですが、レスラーは結局こういう生き方が幸せなんだろなと、最後の顛末を見終わった後、なんだか嬉しくて、ジワッときたのでした。
 それにしても、ミッキーローク自身もいろいろあったと聞いてましたがこんな姿になってたんですね〜。ハンディカメラでの撮影なので、ランディというよりミッキーのドキュメンタリーを観ているようでした。いずれにしても、個人的には好きな部類の作品だったと思います。
 ちなみにR15指定ですが恐らく流血や傷のシーンがあるためだと思います。ストリッパーのポールダンスとか、トイレでバックごしにパンパンパンとやっちゃうシーンもありますが別に扇情的でもなく、ランディの日常シーンのひとつという感じでした。もっともパンパンしたツケが今回は痛かったわけですが。

*1:この役を演じたマリサ・トメイはなかなか色っぽかったです。見た目通りに結構年食ってましたが