原田源五郎:著者、x6suke(ぺけろくすけ):イラスト/今日もオカリナを吹く予定はない

総評:★★★★☆

今日もオカリナを吹く予定はない (ガガガ文庫)

今日もオカリナを吹く予定はない (ガガガ文庫)

 題名からは全然予測できない内容でした。そもそもヒロインのひとりである井波はめちゃくちゃな発言が多すぎ。裏表紙にも書いていますが、オカルト大好きな部を略して、オカリナ部って..。実際作品中に楽器のオカリナは一度も出てきませんでした。じゃぁ、どういう話かというと、これまた変な話で、「死角」と呼ぶ謎の敵をやっつける部活動のお話です。死角というのは誰にでも見ることや感じることができるものではないけれど、例えば、何か変な感じがしたり、嫌な予感がして、今日はあっちのほうへ行くのはやめておこうと思うところに居たりするらしい。そういう死角を実際に見ることができる人が稀に居て、そのひとりが井波さん。物語はこの井波さんが、むっつりスケベなことを自覚し日々ブルマ(特に赤ブルマ)観察に歓喜するエビマヨくんをオカリナ部に勧誘するところから始まります。死角を見ることができる才能があると言われ強引に部に所属することになるのですが、才能があっても死角を見る時に必ず実行しないといけない条件があり、それがまたなんとも奇妙。目にした死角も説明しがたい奇妙さで作品全体が妙なノリにつつまれてました。なぜオカリナ部が死角を倒そうとするのかなど意外に深刻な理由があったりして、暴走しすぎの不快な感じはなく、帯の惹き句にある『ゆる〜〜〜く暴走中!!』というのはいい表現だと感じました。単純におもしろいと表現するのは難しいし、エビマヨくんのむっつりキャラが基本ストーリーにあまり活かされてないなど気になるところはありましたが、楽しめたと思います。