監督、主演:CLINT EASTWOOD/GRAN TORINO グラン・トリノ

総評:★★★★☆

グラン・トリノ [Blu-ray]

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 予定どおり、俳優としてはクリント最後の作品といわれるこの作品を購入。モン族をあまりに知らないためどこまで作品の本質を理解したのか自信ありませんが、クリント扮する元軍人のウォルトを通じてアメリカの一面をまたひとつ知ることができたのではないかと思ってます。フォードやGMが車の代名詞だったアメリカ栄光の時代を知り、同時に戦争で命令もなく人を殺す自分の中の狂気を知ってしまった男が見た現代の歪み。妻が死に息子や孫たちからは自分の苦悩が理解されない一方で文化も言葉も違うモン族の人たちとの交流。モン族には失ったものというよりかつてのアメリカでは得られなかったものがあるということなのか。物語はハッピーエンドだとは思わないけれどウォルトにとっては多くの望むものが得られた結末だったと思います。
 ただ、ウォルトがモン族と打ち解けるのが少し早すぎる気がしたし、モン族の少年タオや少女スーの演技が個人的にはイマイチ*1に感じてしまったし、ウォルトと息子家族との間は何も変わらず、結局ウォルトは現代を否定するばかりで懐古主義で終わった感が強かったのが少し残念でした。なので前作チェンジリングほど作品への満足度は高くないのですが、クリントにとっては最期の作品だからこそこういう終わり方をしたかったのかもしれないと思うし、私も最後にふさわしい良い作品だったと思いました。

*1:クリントと比較してしまうからか?