オイスター/生贄と牢獄

絵:★★★★★、話:■■■■■、愛:♥♥♡♡♡、次回作購入意欲:♪♪♪♪

生贄と牢獄 (いずみコミックス)

生贄と牢獄 (いずみコミックス)

 陵辱モノ((女性は顔、体型ともにややロリだし男のはぶっといため絵面だけ見てると幼女陵辱っぽいのですが、幼女は出てきません))は買っても感想を書かないことが多いのですが(実際読んでも気分が沈むだけなので)、少しホラーテイストの表紙絵が目に留まって購入したし、たなか氏との対比もあるし、簡単に..。まあ蔵書録を見ると前作以外全部持ってるわけですから、ファン?と言われたら否定できないのですが (^^; ただ、仕事の疲れが取れなくなるにつれてこういう漫画を読んで楽しめる体力や気力がなくなってるんですよね。ともかく、帯に「陵辱の帝王」「鬼畜の帝王」と描かれているようにコミックMateの3大作家((私が勝手に言ってるだけです。いトう氏、オイスター氏、あとりK氏。尾山氏は個人的趣味で外してます))のひとりとしてこのジャンルを支える一方で、今回のように『純愛果実』などの他誌でも存在感を見せる実力者です。実際絵もうまいし、無視できない作家です。なんにしても身体的な陵辱だけでなく精神的にも壊される内容なので、覚悟のない人は絶対読むべきじゃない本です。

 それでも今回感想を書く気にさせた1作が巻頭の「先住者」という作品。舞台となるのは格安物件の1室。これまで4人もの自殺者が出たという話をも笑い飛ばし契約する女性。忠告はしましたよと、不動産業者。ふと足下を見るとヘアピンが…。その後部屋に引っ越した彼女。何かを引っ掻くような音で眠れなくても、ネズミのしわざだな、安いわけだ、とあくまで気丈。次の夜もその音は消えず、ついには「助けて」という声が!? その瞬間「ガキンッ」と音がして・・・。完全にホラーテイストの展開ながら、冒頭から挿入される不気味な男の目。音や声の正体はこの男のせいかと思わせながら、陵辱*1ともうひとつの恐怖に襲われる女性。ラストシーンで白濁まみれでベッドに横たわる女性の周囲には数え切れないヘアピンと「カリカリ」と響く音が「ギャリリ」と変わりフェードアウト。こういうテイストの作品は今後も増やして欲しいなぁ。
 他の作品には精神的にくるけど陵辱モノではない作品もあり、「狂気の帝王」としての実力を遺憾なく発揮されていました。以前、純愛果実オイスター氏の名前を見たとき、まさか純愛ものかっ?!と思わず購入したこともありますが(想像できなかったので)、まだまだこのジャンルで新しい作品を生み出す余力も感じました。未熟な絵で安易に傷つけるだけの安物陵辱マンガとは完全に一線を画す作品揃いだけに、今後も黙って買い続けることになりそうです。

*1:一般論としてこの言葉を使いましたが、帯にあるように、至高の純愛というとらえ方もあるのかもしれないと<この作品に関しては>思いました